さくらんぼロリーポップ
嫉妬と羨望と……
高校に入学して以来初めて学校に行きたくないと、藍楽は心の底から思っていた。
鞄を持ってきた豹に噛まれた肩はうっすらと跡を残すだけに治まっている。
それ自体は三日とせず消えてしまうだろう。
しかし、問題は藍楽の内面の方だ。
何でもこなしてしまう器用な長兄に、強い意志で自分の信念を貫く次兄。
歳の近い兄たちへの羨望と劣等感を払拭したい藍楽にとって役立たずは最も嫌いな言葉だった。
だから器用な弟に馬鹿にされる不器用な龍に共感して見返してやろうと思ったワケだが……。
「はぁ……」
龍を守ると豪語してしまった相手は優等生の皮を被った問題児。
一人では手に負えないと周りに協力を仰ごうにも、一人じゃ何も出来ない役立たずのレッテルを貼られそうで嫌だった。
そんなジレンマが頭をグルグルと駆け巡っては溜め息をつくばかりだ。