さくらんぼロリーポップ
早く会いたい……なんて会いたくないって思ってる藍楽にとっては最高の嫌味でしかない。
さっきから一切豹の顔を見ようとしない藍楽に、
「高原さんどうかした? 気分悪そうだけど」
よそ行きの声で話かけた豹の手が何気なく肩に触れた。
その途端に頭に浮かんだのは昨日の夕方の記憶。
苛立った風に自分を睨みつけ、肩に噛み付いた豹の顔……。
触れられた肩に痛みが蘇った気がして、
「っ!」
思わず肩に触れた豹の手を振り払っていた。
「ちょ、ちょっと藍楽……?」
そんな穏やかじゃない藍楽の態度に、その場に居た全員の顔が驚いたモノになって藍楽を見つめていた。
それを見て我に返った藍楽が咄嗟に向けた視線の先……。
「…………」
その場に居た誰よりも驚いた顔をした豹が自分を見ていて。
目が合った途端、昨日の夕方よりもっと苛立った鋭い目付きで藍楽を睨みつけた。