さくらんぼロリーポップ
自分一人でやり遂げると言った龍にとって手伝いの申し出は迷惑なのかもしれない……。
そうは思っていても藍楽の気持ちは揺るがなかった。
「龍先輩の邪魔にはならないようにしますっ」
「でも……」
「龍先輩の手伝いがしたいんです!」
不器用なりに頑張る姿に感銘を受けた藍楽は、勢いのままに龍の手をギュッと握り締めていた。
そんな藍楽に龍は思わず苦笑いを浮かべ、
「気持ちはありがたいんだけど豹に恨まれちゃうよ」
「えっ?」
「だって日曜日は豹とデートなんでしょ? ……ねぇ、豹?」
「っ!?」
こう言って藍楽の斜め後ろの扉へと視線を移した。
恐る恐る振り返った先では、
「そうだよ」
怖いくらい綺麗な笑みを浮かべた豹が、腕組みをして入り口の傍の壁にもたれて立っていた。
……全身の血の気が引いていく。
逃げ出したはずがあっさりと追い付かれる。
更には先回りしてありもしないデートの予定まで立てられている。
藍楽の顔色はすっかり青ざめてしまっていた。