さくらんぼロリーポップ
藍楽の言葉を聞いた龍の顔色は無表情になり、手元の資料の束へと視線が落ちた。
覚悟はしていたものの、やはり傷付けてしまったことに心が痛む。
何か言葉をかけようと藍楽が口を開くより早く、
「……馬鹿だね、豹は」
「……えっ?」
「頭はイイ癖にホントに馬鹿で不器用だよ」
嘲笑気味に笑う龍の静かな声に藍楽は耳を疑った。
目の前の龍は見たことも無いような呆れ顔を浮かべて溜め息をついている。
いつもヘラヘラと頼りなく笑ってる面影はすっかり消えていた。
「……龍、先輩?」
「高原さんは知ってるカナ? ウチの家ってそこそこの財閥なんだ。だから長男の僕は昔から厳しく育てられててね」
まるで豹の本性を知った時のような衝撃が体中を貫く。
そんな龍の変わりっぷりに動揺してる藍楽を無視して、龍はまるで独り言のようにポツポツと語り始めた。