さくらんぼロリーポップ
「でも僕はそれなりに力を抜ける質だから、家のことも鬱陶しいって思いながらそれなりに躱せるし……学校だって楽しんでやってる」
そう言って笑って見せた龍の顔はいつも通りの龍のヘラヘラの笑顔で。
この笑顔が豹の時のように偽物じゃなくて良かったと、小さな安心感を覚えた。
「でも……豹は違うんだ。真面目で不器用で甘え下手。だから、独りで何でも考え込んでいつもあっぷあっぷしてる」
「豹先輩が?」
「何でも涼しい顔でこなせちゃう優等生。あれって豹の虚勢なんだよ。ああやって自分を保ってんの」
龍の口から聞かされる豹のことはあまりに自分の中の豹とは掛け離れていた。
一人じゃ何も出来ない龍や自分を見下して厭味に笑ってる。
ずっと豹のことをそう思い込んでいた。