さくらんぼロリーポップ
「……わたしに嫌がらせしてたのも邪魔だったからなんですね」
「それは豹に聞いてみなよ」
「えっ?」
「……傘持って行くの忘れてたからさ、持ってってあげて」
そう言って龍が折りたたみ傘を藍楽へと差し出した。
それを複雑な面持ちで受け取った藍楽に龍はニッと笑いかけ、
「欲の無い豹が唯一必死で手に入れようとしたモノ……教えてあげようか?」
「……何ですか?」
「豹ってば柄にもなく雑誌買いあさってさ、今日何処に行こうかってずっと悩んでたんだよ」
「……えっ」
「高原さんは何が好きかって、僕にまで聞いたりして」
悪戯っ子のような顔でニシシッと笑う龍の言葉を聞いて、藍楽の胸にジワジワと熱いものが広がっていく。
ずっと悩んでた答えの出ない疑問。
なんで豹は龍に嫉妬しているのか……。
その答えが今初めてわかりそうな気がして、居ても立っても居られなくなった。
「豹のこと、よろしくね」
龍の言葉に背中を押され、藍楽は生徒会室から駆け出していた。