さくらんぼロリーポップ

「最初、生徒会室に来た時の作り笑顔に腹が立った。……その後中庭で龍の前で笑ってる顔を見たらもっと腹が立った」


「…………」


「こっちの気も知らずに龍に協力しようとするのが邪魔で、わざと風紀委員から引き抜いて傷付いてるのを優しくしたら……俺に笑いかけて。騙してんのが苦しくなった」


ポツポツと言葉を紡いでいく豹にいつもの饒舌さは無い。


自分の気持ちを確かめるようにゆっくり静かに話す声。


いつも自身満々に見下していた豹とは全くの別人だった。


「龍を守るって言われてムカついた。……なんで龍なんだって。だから、お前の関心向けたくて必死だった」


「……豹、先輩」


「昔から龍はあんな性格だから家でも何処でもヘラヘラしてて、俺はそんな龍を支える為に生きてた。……龍に会長辞めさせる為に好きでも無い女と関係持っても何とも思わなかったのに……」


ギュッと濡れた豹の手に力が込められる。


ずっと静かだった声色が微かに震えていた。



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