さくらんぼロリーポップ
藍楽が張り上げた声に思わず豹が振り返る。
驚いて藍楽を見つめる豹と視線が重なった。
差していた傘を放り出し、数メートル先の豹目掛けて走り寄る。
そのまま呆然と立ち尽くした豹の体に藍楽は思い切り飛び付いた。
「龍先輩を豹先輩が守るなら……今度はわたしが豹先輩を守りますっ」
「…………」
「だから……ちゃんと言ってください。藍楽が必要だって。そしたらわたしずっと先輩から目を離しません!」
雨で濡れていく藍楽の顔は真剣で、勢い良く言われた言葉が諦めかけていた豹の胸を震わせていく。
「……馬鹿だな、お前」
「なっ……」
「情に絆され過ぎだ」
「違います! わたしは……豹先輩がほっとけません」
「同情だろ、そんなの」
キッパリと言い放つ声が低くなり、目線がキッと鋭くなった。
確かに今までのことや状況を考えれば、豹がそう思うのも仕方がない。