さくらんぼロリーポップ
熱烈アプローチというには語弊があるというか……。
優しく手を差し延べてくれた。
居場所を無くして落ち込んでいた自分を拾ってくれた恩人的な。
「……アプローチっていうか、人手不足だから必要って言ってくれただけだし」
弱っていた所を優しくされて、最初に抱いた苦手意識も相俟って尚更に優しく感じた。
だから恩返しというか、認められたいと思っただけであって……。
それは龍が豹に抱いてる気持ちに近い。
やけにドキドキする胸を落ち着けようと頭の中で独りごちるように自分に言い聞かせる。
「最初は眼鏡とか笑顔とかわざとらしいし胡散臭いと思ってたから余計に……」
一旦気持ちを落ち着けようと飲みかけだったお茶に口をつけた。
お茶を呷る藍楽のほのかに赤らんだ頬を聖梨は怪訝な顔で見る。
「……眼鏡かけてたっけ? 会長さん」
「……えっ? 会、長?」
「だって、熱烈に勧誘されたのって会長さんでしょう?」
高梨ってそっちかよ!?
なんて一人頭の中でツッコむ藍楽の顔が一気に上気する。
キョトン顔で首を傾げる聖梨に、一人勘違いしていた自分に猛烈な恥じらいに襲われた。