さくらんぼロリーポップ

初めて見る藍楽の真っ赤な顔に聖梨はニッと笑いかけた。


「もしかして……副会長さんのこと言ってた?」


「っ!!」


「藍楽ちゃんって副会長さんのこと……」


「ひーちゃん!! これあげる!!」


「わっ!」


聖梨の笑顔と言わんとすることに大慌てした藍楽は椅子から立ち上がり、お弁当箱の中の残りのだし巻き卵を聖梨の口にほうり込む。


あまりに慌て過ぎて口を物理的に塞ぐことしか思い付かなかったのだ。


「だし巻き卵美味しいでしょ!? 皇兄最近白だしに凝っててね、それで……」


だし巻き卵がこぼれ落ちないように口を指先で押さえる聖梨に、必死にイイ言い訳を探すものの……。


「……ごめん。ひーちゃん」


いきなりだし巻き卵を口にほうり込むイイ言い訳なんて思い付くワケもなく、肩を竦めた藍楽は潔く頭を下げた。


< 34 / 125 >

この作品をシェア

pagetop