さくらんぼロリーポップ
それを聞いた藍楽はますますニヤけた顔になり、
「はいはいはいはい。じゃあお邪魔虫は教室に戻りますよ」
そそくさと食べかけのお弁当箱を片付けて、教室から出て行ってしまった。
その背中を真っ赤になった聖梨が見送り、ゆっくりと雄楽の方へと振り返る。
それと同じタイミングだった。
「……やる」
「えっ?」
「さっきの授業で作った」
雄楽の顔より先に聖梨の視界に入ってきたのは、可愛らしいお花の模様のビニールに入った不揃いなクッキーだった。
反射的に受け取ったそれはまだほのかに温かく、バターと砂糖の混ざった甘い匂いを漂わせている。
上目に傍らの雄楽の顔を覗き見れば、落ち着かなげにふいっと聖梨から顔を背けてしまう。
よく見ればもう片方の手には授業で使ったであろうエプロンが握られていた。
どうやら授業が終わるなり真っ直ぐ聖梨の元にやってきたようだ。