さくらんぼロリーポップ

だから思わず自分から言ってしまう。


「……先輩。それだけですか?」


「えっ!? ……やっぱり買ってきたお菓子の方が良かったかな……」


「じゃなくて……」


が、しかし。

龍の頭の中にはお菓子のことしかないらしく、手作りクッキー片手にしょぼんと肩を落としている。


「生徒会のことで何か……」


藍楽が言いかけたところで、例によってきゅるきゅると間抜けな音が響く。


半ば飽きれ気味の顔で一瞥する藍楽に、


「作ったクッキーを半分修護と椎菜ちゃんにあげてきたんだ。で、高原さんの居場所を聞いて探しに来たんだけど……」


「で。またお昼を食べそこなったんですね」


ははは~と暢気に笑う龍に盛大な溜め息が零れた。


「じゃあ一緒に食べましょ。聞きたいこともありますから」


「うん! じゃあ中庭行こ! 形は悪いけど味は結構自信あるんだー」


さっきからクッキーの話しかしてない龍に、生徒会のことで気負っていた自分が馬鹿馬鹿しく思える。


意気揚々と中庭に向かう背中に、藍楽は何とも言えない半笑いを浮かべながらその後に続いた。


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