さくらんぼロリーポップ
ときめき撤回
「どういう風の吹き回しだ?」
「何が?」
「トボけないでよね! なんで急に風紀委員辞めて生徒会に入ろうと思ったワケ?」
放課後の教室。
机に向かってペンを動かす藍楽の周りを椎菜と修護が囲んでいる。
勉強でもしてるんなら冷やかしてやろうと目論む椎菜と、大人気ないからやめろと止めようとした修護の目に飛び込んだ書類に思わず顔を見合わせた。
一昨日の生徒会室で高梨兄弟を瞬殺した藍楽が、風紀委員会の退会届けと生徒会の入会届けを書いている。
この2日の間に何があったのか……。
椎菜も修護も皆目検討がつかなかった。
「……頼まれたからだよ」
「誰に?」
「高梨先輩……たち」
頭に浮かんだ豹の笑顔にドキッとして、慌てて龍を付け加えた。
男前は間に合ってる、なんて大見得を切った手前でやっぱり豹に心が揺らいでしまった……なんて
言えるワケがない。