さくらんぼロリーポップ
しかし、
「ふ~ん。で? どっち?」
「えっ!? な、何が……」
わずか1秒程度の妙な間を椎菜が目敏く感じ取る。
ごまかしをアッサリと見破られた藍楽がしどろもどろするのを、椎菜はニマニマとした含みのある笑顔で見下ろしていた。
「決まってるでしょ! 会長か副会長のどっちって聞いてんの!」
「どっちって……生徒会に入って欲しいって頼まれたのはどっちもだけど?」
「違うの! イケメンお兄ちゃん達に囲まれた恋愛にぶにぶ藍楽がキュンッてなったのはどっち?」
「そんなのどっちも違うし……」
「嘘! 今椎菜から目逸らしたもん!」
椎菜はこういう時ばっかり頭の回転が早くて嫌になる。
いつもは無駄なキャピキャピ(ぶりっ子&イケメン探索)やお菓子ばかりに費やされる椎菜のエネルギーが藍楽に一点集中していた。
ぐいっと寄せられた椎菜の表情は、鼻息荒く藍楽の瞳をじっと見つめている。
こんなに近付かれれば誰だって目を逸らしたくなる……なんて思いつつも、反論出来ないのは思い当たる節が無きにしもあらずだからだ。