さくらんぼロリーポップ

顔を上げた藍楽の視線の先には、


「こんにちは、高原さん」


相変わらず爽やかに笑う豹が立っていて、ペンを握り締めたまま固まってしまう。


「副会長。何かあったんですか?」


「今日の生徒会は休みだって伝えようと思って」


「え~。つまんないですぅ」


修護と椎菜の間に立つ豹をぽーっと見つめていた藍楽と豹の視線が重なる。


何? って尋ねるみたいに首を傾げた豹に、藍楽は首を振って慌てて視線を手元に戻した。


「あっ。先輩のクラスも調理実習だったんですねぇ~!」


「龍にも貰ったかも知れないけど、俺のも食べてくれるカナ?」


「わーい! もちろんですぅ!」


「ありがとうございます」


目敏く豹の手にあったクッキーを見つけた椎菜に、豹は爽やかな笑顔でそれを差し出す。


それをワイワイと喜びながら受け取る椎菜や修護を藍楽はチラリと窺った。


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