さくらんぼロリーポップ
生徒会に入れば自分もあんな風に自然体で豹と接することが出来るんだろうか……。
書類の中の生徒会の文字を見つめながら溜め息を漏らす。
そんな藍楽に、
「高原さん」
「え……むっ」
呼び掛けた豹が顔を上げた藍楽の口にクッキーを放り込んだ。
ちょんと唇に触れた指先の感触に藍楽の心臓がバクバクと半鐘を打ち鳴らし始めた。
「……生徒会室で待ってる」
藍楽の手元にあった書類の生徒会印の部分を指差し、椎菜や修護に聞こえないくらいの小さな声だ囁いた豹が微笑んでいる。
状況が飲み込めずにポカンてしている藍楽に、人差し指を自分の口元に当てて秘密といった仕種をしてみせた。
「じゃあまた明日」
龍先輩のより美味しいなどなど。
豹に貰ったクッキーの話題で盛り上がっていた椎菜たちにこう告げ、豹は何事も無かったように去っていく。
呼び止めようにも口に含んだクッキーが邪魔して声が出せず、赤らんだ顔でその背中を見つめることしか出来なかった。