さくらんぼロリーポップ
ギュッと書類を握り締め、生徒会室のドアの前に立つ。
さっきから何度目かわからないくらい深呼吸をしている。
何回深呼吸をしたところでドキドキは治まらない。
緊張で震える手を握り、もう一度だけ深呼吸をした後。
「失礼しま……」
ノックをした勢いに乗ってドアを開けた藍楽は思わず絶句してしまった。
薄暗い生徒会室のソファーの上にある二つの人影が目に飛び込む。
ソファーに身を沈めている女の子に跨がるのは、制服のカッターシャツがはだけた豹。
そして、慌てて体を起こした女の子の髪には解けかけたピンク色のシュシュ。
「えっ……」
一瞬目を疑った藍楽に振り返ったのは、
「た、高原さん!」
自分の記憶の中にある真面目な面影が嘘のように制服を着崩れさせた風紀委員長だった。
目の前で何が起きているのか……頭の中が状況に追い付かない。