さくらんぼロリーポップ
「わ、わたし行くからっ」
風紀委員長は乱れたブラウスを軽く整え、入口で立ち尽くしていた藍楽の隣を抜けてそそくさと生徒会室から飛び出していった。
そんな彼女とは対称的に、
「はぁっ」
動揺一つ見せない豹は鬱陶しそうに溜め息をつきながら、かけていた眼鏡をテーブルに置いた。
そのままはだけたシャツのボタンをさっさと閉め、
「いつまでそこに居るんだよ」
今まで聞いたどんなトーンより低い声で呆然としている藍楽を一瞥した。
まるで別人のように思えて、思わず豹の横顔をじっと見つめる。
「なに?」
藍楽の視線に鬱陶しそうにそちらを向いた豹は、紛れも無く豹本人で。
「……付き合ってるんですか?」
真っ白になっていた頭から、ようやく口に出せた言葉がこれだった。
それを聞いた豹はハンッと鼻で笑い、
「まさか。あんな女、セックスする価値も無いな」
あからさまに馬鹿にしたような口調でこう言い放った。