さくらんぼロリーポップ

「あっ! その書類……早速持ってきてくれたんだ!」


「えっ……いや、それは……」


「すぐにハンコ捺すよ! 待ってて!」


「おい、龍っ」


藍楽の手元にあった書類を見つけた龍の顔がパッと明るくなる。


半ば強引にそれを取りあげた龍は、呆気にとられる藍楽や豹に目もくれずに奥の机へと向かって行ってしまった。


「ハンコハンコ~」


上機嫌で生徒会の印を探す龍に、豹は深い溜め息と共に前髪をくしゃくしゃと掻きむしっている。


さっきまで藍楽に見せていた余裕はなく、苛立ったような舌打ちまで聞こえてくる始末だ。


「先輩がわたしをわざとここに呼び出したのって、生徒会入りを辞めさせる為ですか?」


苛立った豹は自分が生徒会に入ることを嫌がっているように見える。


引き出しを開けたり閉めたりしながらハンコを探し続ける龍を見つめながら豹に尋ねた。


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