さくらんぼロリーポップ
「雄兄酷い! 妹が心に深い傷を負ったっていうのに……」
「よく言うな。そいつの顔にゲンコツ一発食らわせてきた癖に」
「お兄ちゃんとしてもう3発くらいやってきてよ」
「するかよバカ」
「可愛い妹の為にやってやんなよ~雄兄~」
「おまえは黙っとけ涼希」
さっきから自分の話に耳を貸さない雄楽に藍楽が唇を尖らせる。
むしろ面白がって藍楽の口まねをしながら便乗した涼希に、雄楽の苛立ちは増加する一方だ。
雄兄ってば冷た~い。
と、悪乗りし続ける藍楽と涼希に心底呆れた溜め息を零し、雄楽が横向きに座り直す。
視界から鬱陶しい二人を消し、お弁当に意識を集中させる雄楽に、
「二人とも悪乗りし過ぎ」
「はーい」
「…………」
苦笑いを浮かべた涼姫が窘めるようにストップをかける。
雄楽がどれだけあしらっても止めない二人も、涼姫に言われた途端に大人しくなって余計に雄楽を苛立たせた。