さくらんぼロリーポップ
ようやく場の雰囲気が落ち着き、うるさかった約二名も涼姫の話を聞く体勢に入る。
「わたしも噂程度しか知らないんだけど……高梨くんたちの家って割と古い財閥みたいなの」
「生まれながらのボンボンか」
「だから性格がひん曲がってるんだよ」
「でも兄ちゃんの方はそんなんじゃ無いよね……ホラ」
なんて言われて反射的に涼希の視線の先を辿れば、
「高原さん、こんにちは~」
ひょっこりと龍の人懐っこい笑顔が現れてビックリしてしまう。
どうやら2年生の教室に藍楽の姿を見つけて声をかけにきたらしい。
同席していたメンツを龍がぐるりと見渡し、
「高原さんって、年上の知り合いが多いんだね。昨日は3年生のとこに行ってたし」
「2年と3年にお兄ちゃんが居るんで」
「あっ、そっかぁ~。なるほど」
気の抜けた会話のやりとりを始めて、周りを軽い脱力感に誘った。