さくらんぼロリーポップ
「初めて断られちゃったなぁ。清々しいくらい潔い娘だね、豹」
ははは~とお気楽に笑う生徒会長に豹はわざとらしく溜め息を吐き、
「笑い事じゃないだろ。断られたって言うのに」
ピリピリとした不機嫌そうな表情でどっかりと椅子に腰を下ろした。
そんな弟の顔色の変化も特に気に留めることもなく、
「でも、あんな娘なら簡単に辞めたりしないんじゃないかなぁ~。芯が強そうだし」
龍は今まで辞めていった9人分のバツ印の下に高原 藍楽の名前を書き込んだ。
それを手近にあった赤ペンでグルグルと何重にも円を重ねて囲む。
「生徒会に来てくれたらな……」
龍が生徒会長に就任してから2ヶ月近く。
これほどまで生徒会のメンバー不足が続くのは前代未聞だった。
それを気に病んでか。
龍はこれ以上のメンバー不在が続くようなら会長を辞任しようかとも考えてさえいる。
ここ最近増えた溜め息を漏らす兄に、
「引き抜くか?」
「ん~……本意じゃないのは気が進まないよ」
真顔で尋ねた豹に龍は困ったような顔で笑ってみせた。