さくらんぼロリーポップ
豹の瞳を見つめる藍楽の猜疑心は確定に変わる。
そんな藍楽の瞳から目を逸らした豹は、
「そうでしたね。……ど忘れしてました」
すぐさま爽やかな作り笑顔を浮かべてサラリとこう言ってのけた。
それから豹は一切藍楽に視線を向けようとはしない。
そのまま、
「もしメモが見つからなかったらまた聞きにおいで」
こう言って龍の肩をポンポンと叩く絵那にお礼を言って別れた。
「やっぱりどっかに紛れてるのかも。先に行って修護たちにも知らせてくるよ」
自分の記憶が間違っていなかったことに安心したらしく、龍は生徒会室へと一足先に駆けて行ってしまった。
肝心のメモの行方はわからないままだというのに、それでも龍の表情は晴れやかだった。
「お気楽なヤツだな、ムカつくくらい」
走り去る龍の背中を見つめながら、豹は厭味な口調でこう呟く。
それを聞いた藍楽は、
「人が困ってる姿って見ててそんなに楽しいですか?」
足を止めて隣の豹へと向き直り、睨みつけるような視線で豹を見上げた。