さくらんぼロリーポップ
反論してやろうにも、動揺し過ぎて全身が心臓になったようにバクバクと脈打っていてそれどころではない。
豹に引き寄せられたままひたすら豹を睨みつける藍楽の耳に、
「藍楽と豹先輩遅いですねぇ~」
「また喧嘩してないと良いんだけど……」
「あっ。あそこ」
廊下の向こう側から自分たちを探す椎菜や龍の声が聞こえて、思わずそちらへと視線を逸らしたその時だった。
「おまえ、俺に人が困ってる姿を見てて楽しいかって聞いたよな?」
「そ、それが何……んっ!」
ニヤリと笑った豹の顔があっと言う間に近付いて、ムチュッと藍楽の唇と頬の境目にキスをしてきた。
それは端から見れば唇と唇が触れ合うキスにしか見えなくて……。
「なっ!」
「キャー!! 藍楽と豹先輩が今!!」
「ひょ、豹!!」
背後から駆け寄って来ていた3人は驚いたように声をあげた。
そんな3人にくるりと振り返った豹はにっこりと爽やかに笑い、
「実は俺達付き合ってるんだ」
何の躊躇いもなくあっさりと嘘をついてみせた。