さくらんぼロリーポップ
天の邪鬼なカレ
「……呪ってやるぅ」
豹の一方的な付き合ってます宣言から丸一日以上が過ぎた頃。
藍楽は委員会から帰って来るなり、据わった目で物騒なことを呟いていた。
「開口一番何言ってんだよ」
「皇兄~だって~!」
ただいまも言わずにダイニングのテーブルに突っ伏す妹を後目に、皇楽は焼き上がったばかりのホットケーキに添える生クリームを泡立てていた。
甘いホットケーキの匂いとシャカシャカと規則正しい音のする方を恨めしげに振り返る。
話を聞いてくれと言わんばかりの視線に仕方ないから適当に声をかけてやった。
「またどうせ……例の優等生の副会長絡みだろ」
「あんなの優等生なんかじゃない! あんなセクハラ野郎……」
「セクハラ?」
「っ!?」
「……なんかされたのか?」
藍楽の口から飛び出したセクハラという単語に、泡立て器を握る手を思わず止める長兄。
自分で口を滑らせておきながら藍楽は、真っ赤に染まった頬で口をパクパクさせていた。