さくらんぼロリーポップ

生クリーム付きのシフォンケーキの刺さったフォークを笑顔で突き出す豹に、藍楽の作り笑いは苦笑いへと変わる。


このシチュエーションはもしかしなくても……、


「はい。あーん」


「って……!!」


に決まってるのは誰の目にも明らかだった。


爽やかな笑顔であーんをする豹に、藍楽の顔は驚きで目を見開いている。


そのまま反射的に視線を正面へと向ければ、


「あっ……」


「…………」


興味津々な龍、椎菜、修護の3人と目が合ってそそくさと逸らされてしまった。


……我々は見てないと言わんばかりに。


そんな3人を呆れたように一瞥した藍楽は視線を隣へと戻した。


相変わらず豹は食えない爽やかな笑顔で藍楽を見据えてる。


「そんな大人気ない嫌がらせしてないで普通に渡してください」


「嫌がらせなんて言い方は酷いな」


「どうせわたしが困ってるのを見て面白がってるだけの癖に」


困るを通り越して怒りを露わにさせる藍楽。


眉をキッと吊り上げたその顔に、


「だって面白いから。困ってる顔が」


「んぐっ!」


おもむろにフォーク近付け、大きく空いた口の中へと宛がった。


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