さくらんぼロリーポップ
怒ってる間に生クリームの甘さとシフォンケーキの食感が口一杯に広がった。
物理的に塞がれて不機嫌丸出しの恨めしげな表情でムグムグと口を動かす。
「美味しい?」
「……ふんっ」
藍楽の口にフォークを突っ込んだ張本人は満足そうに笑みを浮かべ、ムカついた藍楽はふいっと顔を背けた。
「……強引だな」
「そんな豹先輩も素敵ですぅ」
目の前のやり取りを見届けていた修護が少し呆れたように藍楽に紅茶を差し出す。
あくまで豹の肩を持つ椎菜を一瞥して、藍楽は紅茶のカップを受け取った。
「豹は天の邪鬼なとこがあるからねー」
弟の強引な愛情表現に苦笑いを浮かべながら立ち上がり、
「高原さん。頬っぺに生クリームが付いてるよ」
ティッシュを持った右手を生クリームで汚れた藍楽の頬へと伸ばす。
「あっ」
自分で拭きます。
なんて藍楽が続けようとするより早く、
「いっ……」
「うっ!」
「えー!!」
「おぉ~!!」
修護、藍楽、龍、椎菜の順番で思わず声をあげてしまった。