Infinite Information
『神山ミコト』はメスを一本作った。
そして、ヨシトも目の前に『念力』で飛ばした。


「それで刺して………」


ヨシトはメスを持った。
遠くからでもわかった。
報告会で見せてもらったメスと同じものだ。
『神山ミコト』はヨシトに死を宣告しているのだろう。


「ヨシト………やめて」

「好きな女のためなら本能だ」


ヨシトはメスをお腹に刺した。
だが、お腹にメスが触れた瞬間、メスが消えた。


「ヨシト、能力を使ったの………」

「いいや、使ってない………」


私は『神山ミコト』を見た。


「僕の負けだ………」

「どうして………」

「辻本は負けを言わない」

「………」

「最初は負けを認めよとしていたけど、仲間が現れたら負けることが許されないと感じたんでしょ。
それにその人の命を取るようなことでもない」

「ミコト………」

「いいんだ。
僕の負けだ。
それが結果なんだ」

「ミコトはそれでいいの」

「いいんだ。人が死ぬのを見たくないんだ」

「でも、戦争には協力する」

「大丈夫。
人は誰も殺さない。
うまくやるさ」

「なんで、アンタはマサと共に行動をするの」

「『仲間』だから。
伊藤が望む世界を変えることなんて僕にとってはどうでもいいことだけど僕は伊藤からもらった大切な仲間を守りたい」

「なら、マサを止めればいいじゃない」

「この世界はおかしいと感じたことはある」

「何よそれ」

「アカネ………
何の話をしているんだ」

「僕は一度感じたんだ。
きっと伊藤はそれを直そうとしているんだ」

「矛盾してるわ。
ミコトは世界を変えることに興味はないけど世界がおかしいと感じている。
だからマサの手伝いをしているんじゃないの」

「僕は世界を変える気がない。
ただ、伊藤とナナミ、辻本、山本がいるならそれでいい」
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