Infinite Information

私は『青山トシゾウ』を殺したくなった。
馬鹿にするのもいいかげんにしてほしい。
『神』なんてこの世に存在しない。
そんなやつ、何百年も前に死んでいるんだから………


「あなた………
やっぱり気が狂ってる」

「そう思うのなら仕方が無い」


男はスーツのポケットに腕を入れた。
私は彼の手を見た。
手を出したら、銃を持っていた。


「戦う気………」

「いいや、戦わないよ」

「じゃあ、何のために出したの」


男は銃口を下に向けた。
どういうつもりなんだ。


「この世界をなぜ素晴らしいと思わないんだ」

「私は………変わろうとしない世界を変えるために………」

「いいや、君は言葉ではそういっているが本心はどうなんだ」

「私は………」

「君は周りの人間がそういう考えの者しかいなかったから知らないうちにそう感
じてしまったんじゃないのか。
本当はこの世界が好きなはずだ」

「………」

「君が本当に望む世界は何なんだ」

「私は………」




私はこの世界が嫌いではない。
でも『青山トシゾウ』の言うとおり、私の周りには『W』の『穏健派』がいたからそうだと思ってしまった。
それじゃあ、私の本当の気持ちはなんなんだろう………

私は目を閉じた。
一つの思い出が私の頭の中に浮かんだ。
『C』が初めて活動した日、『伊藤マサ』がサカイに向けて言った言葉だ。