Infinite Information
「『才能』のあるもの、ないもの。
能力者、無能者、無能力者
『人としての価値を象徴するのが才能』という世界はいつ終わるのですか」

「何が言いたい………」

「『才能』が人の価値を決めるんじゃない。
人が生きながら価値を磨くんだ。
あなたは世界がおかしいと思わないのか」

「思わない。
それが世界なのだから」

「そうですか。
俺が日々思っていることは、このままではやがて世界に混乱が起きることです」

「それは君が起こしたいからか………」

「違います。俺はそうならないようにしたいだけです」

「そうか………考えておこう」


サカイは伊藤に背を向けた。
伊藤は何もしなかった。
サカイに伝えたいことは伝えた。
大衆もサカイが去り、四方八方へと消えていった。
伊藤と僕達だけがまだその場にいた。
ただ無言で時間だけが過ぎていく。


「そろそろお腹が空かない………」


ナナミが僕達に言った。


「………うん。お腹が空いた」


僕もナナミに続いて言った。


「伊藤、食べに行くぞ。
行かないなら置いてくぞ」


僕とナナミと山本はさっきのカフェに行った。


「ほら、マサもそこで立ってないで早く行くわよ」


辻本が伊藤の手を掴んでカフェまで連れていく。
しばらくして「おお、ちょっと待て」と言って僕達の方へと走ってきた。
いつもの伊藤に戻った。




―――その後、僕達はさっきの出来事をネタに冗談話をした。
普段の日常へと戻った。
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