Infinite Information
―――次の日、僕は病院に行った。
今日は混んでいたが時間を気にせず待った。


「神山ミコトさん」


ドアの奥から自分を呼ぶ声が聞こえた。
僕はドアを開け、部屋に入る。


「やあ、元気だったかい」


森下先生は僕の方を見ていなかった。
僕は何か嫌な予感がした。
いつもなら、僕の方を見て話すのに今日は違った。
僕は椅子に座った。


「先生、今日は調子が悪いんですか」


僕は気味が悪いので質問した。


「ちょっと、気になることがあってね」

「そうですか」


僕は森下先生の机を見た。
雑誌が一冊置いてあった。
表紙に小さいが『C』と書かれている。
僕は見ていないことにした。


「最近、学生団体が世間で注目されていることは知っているよね」

「はい」


嘘をつかない方がいいと思った。


「君は『C』っていう団体知ってるよね」

「はい」

「私はね、昨日ムトウさんの演説に行ったんだ」


僕は全て悟った。

これから森下先生が話す内容は『C』で活動している僕のことだと………


「ムトウさんとは昔から知り合いでね。
久々に会いに行ったら。
『C』がいたんだ。
彼らはすごいよね。
学生なのに世界と戦おうとしている」

「そうですね」


僕が組織に関わっていることは僕の口からは言わないようにした。


「神山君、昨日の午後どこにいたか教えてくれない」


嘘をつこうと思えばつける。
でも、森下先生は昨日のことを知っているのだろう。


「ムトウさんの演説を見に行きました」

「そうか、活動のほうは順調なの」

「はい」

「大変か」

「はい、でも友達がほとんどやるので僕は手伝いをしているだけです」

「そうか」


しばらく沈黙が続いた。
僕は森下先生を見ていた。
まだ机の方を見ていた。


「神山君はこれからも活動を続けていくの」


それは僕にもわからない質問だ。
今は成り行きで参加しているのであって、続けていくのかはわからない。
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