Infinite Information
二人から始まった喧嘩は徐々に他の人を巻き込んだ。
言いたいことを口に出し、心の不安を和らげようとする。
私は何度も「止めて」と叫んだ。
それでも、皆は無我夢中で、私の事を無視し続けた。


この状況を改善したかった。
それは私のためでも、皆のためでも、グループのためでもなかった。
ただ………
それしか、私にできることがなかったから………
私は声を出して訴えた。足が動かず、その場から動くことができない。
知らないうちに、私は泣きながら「止めて」と訴えていた。
無力な自分が嫌になった。
私の声や姿がこの場に存在ようにされたからだ。


なんでこんなことになったのだろう。
まだ始まって一日も経たない。
環境が人を変えるのか。
あるいは心の弱さからなのか。
普段から平常心を保ち続けることは簡単だろう。
でも、ちょっとした変化が人を変えさせるのかもしれない。


人はいつも通りの生活をする中で無意識の内に一日、あるいは一年後までに達成したいものを決めている。
それは達成するためのやり方を知っているから出来ることだ。
自分でやり方を決める者、他人から教わり決める者。


それは場合によって様々だ。
でも、今は違う。
皆がやり方を知らない。
頼れる人がいない。
不安と不安が重なり、交わり、溶け合ってしまった。
誰かが皆を導かない限り、この争いは永遠に繰り返されてしまう。
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