Infinite Information
「何を言っているんだ………」

「計画は順調だった。
伊藤君がここに来てくれれば神山君も来ると計算していたからね」

「どうして、伊藤が来るって………」

「計画では、メディアを通して呼びだそうとしたんだ。
だが、計算外のことが起きた。
彼は自らここに来たんだ」

「なんで………」

「それは私からは話せない」

「………」

「だが、そのおかげで我々『W』の目指すべき方向が見つかった」

「言っている意味がわかりません」

「いいんだ。今回の事件、我々『W』の目的とは異なってしまったが、方向性は見えた。
あとは神山君、君だけだ」

「だから、何を言っているんだ」

「我々は世界に失望したんだ。
この世界が間違いだと何度も訴えたところで何も変わらない。
活動をするほど我々は世界の部外者とされてしまう。
それなら、世界を一度再生するしかないという結論が出たんだ」

「世界を再生………」

「そうだよ。
神山君の力で世界を一度滅ぼしてもらい、『才能』という世界に終止符を打ってもらおうとしたんだ」

「………」

「だが、それには神山君自身の了承が必要だ」

「断ります。僕はナナミと約束したんです。世界を滅ぼさないと………」

「そうだろう。だから、伊藤君を呼ぼうとしたんだ」

「なんで伊藤を………」

先生は黙ってしまった。
僕は先生を見続けた。

「この活動は『W』の最後の仕事なんだ。
世界に最後のメッセージを送るためにね」

「それでメディアで訴えていたんですか」

「そうだよ。だが、それも叶わなかった。
世界は我々を見て、面白がるだけだ」

「………」

「神山君はこの世界をどう思うんだ」
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