たった一つの流れ星
「…亡くなった?」
「はい、あなたはバイクの事故で命を絶ちました。急なこと、また一瞬だったので記憶にないのでしょう」
車掌は淡々と話す。
「それでこの列車はですね…」
「冗談を言うな!」
佑二は大声をあげた。
「死んだだって?生きてるじゃないか!現に今ここで存在してるじゃないか!」
「信じてもらえませんか…困りましたね…あ、そうだ。」
と言うと車掌は佑二の背後に回る。
「こちらをご覧ください」
佑二は車掌の指差す窓を見た。相変わらず外は何も見えない闇だ。
「暗くて何も見えないじゃないか!」
「いいから見ててください」
徐々に窓はぼんやりと光が射したと思うとみるみるうちに明るくなった。何か動いている。
佑二は窓に近付き凝視した。
「…嘘だろ」
そこには佑二の見知った顔がたくさんあった。会社の仲間たち、友達、学生の頃の友人、両親、そして…亜紀。
更に佑二はその上にある大きな写真を見て絶句する。自分の遺影だ。
「今ちょうど向こうの世界ではあなたの葬儀が行われているみたいですね」
車掌は隣に来ると相変わらず淡々と話した。
「これは…俺の…」
佑二は力なくシートに沈み込んだ。
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