~ ☆プレーチェ★ ~
中からの風音と肌寒さを疑いながら窓の方をバッ見ると、
なぜか窓が大きく開いてて、カーテンが風に吹かれてなびいてた。
「な……なんで窓が開いてんだよ!」
俺は開けたつもりなんかないのに!
母さんか!?母さんのバカの嫌がらせか!!?
だとしたら絶対許さないけどな!?
勝手に開けられた怒りでムカムカしながら部屋の扉をバタン!!と強く閉めて、窓の方へと近寄って行った。
「変な奴入ったらどうしてくれるんだよ!
ただでさえ外から帰って来て冷えきってるっつーのに!」
いや、確認の必要があるなこれは!
母さん以外いないし!!
窓の傍まで行って取っ手に手をつけた時、ふと眩しい光りが眼に入って俺はそれを見た。
……窓から見える満月……。
……気のせいか?
なんか、さっき道で見た満月より……光が強いような。
「こんばんは!」
「うわっ!」
俺が満月を見つめているとその背後からいきなり聞いたこともない声がして本気でびっくりした。
慌てて振り返ると、いつの間にそこにいたのか、すぐ後ろに小さな人影があった。
その人影は、部屋に入り込む月光で照らされてボンヤリと見える。
俺よりかなりの年下・中学生くらいか??
よく見ればガキ(女)のようで、この寒い冬の季節の夜に薄く白い半袖ワンピース1枚だけ、あとは何も着ていないかなり変な姿だ。
「だ、誰だよお前!!? どこから入ってきた!?」
俺が怒鳴ると、そいつは少し小首を傾げてから、窓から差し込む背後の月明かりの方を振り返り、何を思ったのか少し前に出て来た。
そうすることで、そいつの姿が月光で照らされよく見えるようになると、ハッキリ見えるようになった小顔で二重の大きい綺麗な翡翠色の眼と小さな唇をしているでニッコリと笑って言った。
「月菜(ツキナ)!」
「はっ!?」
「月菜は月菜! 月世界(つきせかい)からこっちに来たの!」
バッと右手も上に振り上げ、大声で元気に、そして窓の向こうから差し込んでくる月光のような明るい笑顔で月菜と名乗ったガキはスッと細い腕を上げてビシッと俺の顔を指差した。
「月菜は聖ちゃんの心を癒しに来ました」
…………。
これが、
俺と月菜との
最初の出会いとなった。