~ ☆プレーチェ★ ~



 ちょっと待て!? 
 いま、ごく普通にこいつの名前呼んだのか? そんで話しかけたよな!?
 何でだよおいっ!


 つーか、さっきの羽は目の錯覚か何かだったのか…??

 一瞬、ガキの顔だけ振り返って見れば、うっすら光ってたような羽がなくて、やっぱり見間違いだったんだと思い直し母さんを見た。


 ただこいつの名前とか知ってるってことは、やっぱり母さんの知り合いだったのかよ??

 疑問からと疑いが湧き上がってきて母さんに問いかけようとしたら、



「えへへ、聖ちゃんに会いたくてお話してたんだよ」



 俺の言葉を遮るように、ガキが母さんにまた訳の分からないを言い出すから、思わず殴ってしまった!

 もちろん、本気ではないつもりだ……。



「あった~~~~!! いきなりなにするのさ~!!?」

「いい加減その口黙らせねーと本気で殴るぞっ!」

「ひどっ!!」



 涙目で頭を押さえて訴えてくるガキの言葉なんか聞く耳も持ちたくなかったぜ。

 でも、怒鳴りつけながら振り返ってみたとき、また変なモノが目に入って……。

 
 …………え……?


 一瞬言葉を失い、眼を疑った。


 なんだこれは……。



「……なんだ、あんた……その格好は……」

「ん?  なんのこと?」

「ふざけるな!  あんたのその服のことに決まってるだろ!!」



 今度こそ吼える勢いで怒鳴りつける。

 こうして目の前にしてても、俺の頭の中で今見ているものを信じられないでいる……。


 だってそうだろう?

 こいつ………

 このガキは、おれが今この部屋に入ろうとして来た母さんを止めるまでずっと……

 ずっと冬だというこの季節に合わない真っ白なワンピース1枚しか着ていなかったんだぞ……!

 それなのに!!
 
 今のこいつのは何だ!?

 たった一瞬眼を離しただけなのに、次にガキに目を戻して見たら………。

 ガキが着ている服はもうワンピース1枚なんかじゃない。

 大きめのボタンが横に2列、縦に3個ずつキレイに並んだスタンドホワイトコートであの露わになってた肌を隠し

 膝よりやや上までの長い丈を持った黒のオーバーニーソックスが細い足をそれぞれ包んでいて

 いつの間にかどこから見ても冬に着る普通の衣類を身に付けている…………。






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