~ ☆プレーチェ★ ~


 肝心の母さんは、そんな俺の顔を、顔を顰めて見つめてきた。


「何ヘンな事言ってるの、あんた?」


「はっ? ヘンなこと言ってるのは母さんの方だろ?」


 俺の言ったことの何がヘンだったって言うんだよ!


 頭にきたからギッと睨んだが

 母さんはビクともしなくて眉間に皺まで増やすと、


「この月菜ちゃんは!!  

あんたの可愛い従妹じゃないの!
 
まるで自分は知らないみたいな言い方をするのはやめなさい!」


 なんてことを怒鳴ってきた。


 そして、今と言う今までずっと黙って

 この俺達の言い合いをどうしたらいいのだろうというような

 情けない顔をして見ていたガキの腕を母さんが掴んで俺の正面に付き合わせて押し出た。


「わっ…!」


 と、俺の前に出てきたガキは

 俺と目が合うと、


「ど、どうも……」


 なんて、最初に会った馴れ馴れしい勢いがなくなり

 今度は、どこか申し訳なさそうな雰囲気を感じさせる微笑みを浮かべて

 そんな挨拶をしてきた。


 はっ(笑) 

 こいつが可愛い従妹だって?


「……なにがどうもだ……

どういうことだ……」

 
 知らないみたいな言い方はするな、だって!?

 なんでいない存在をいる扱いしなきゃいけない!

 馬鹿か……!

 そうだ。

 従妹なんて……いないし

 知らなくて当たり前なんだ。

 俺には親戚なんか、1人もいないんだ!

 ガキの頃から母さんや父さんの口から直接聞いて育ってきたし

 それを直接知りながらも育ってきた……。


 ……いないと教えた母さん本人が。
 
 急に親戚がいると言い出した……。

 それも、ガキを庇うような形で……。

 
 明らかにおかしい……。

 おかし過ぎる……。






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