~ ☆プレーチェ★ ~
「月菜のお父さん、
須夜崎 靖(スヤザキ サトル)のこと。
……忘れたの? 聖ちゃん」
……平気どころか、笑ってる?
こいつ……!
「このっ!!」
「止めなさいって言ってるでしょ!」
ゴンッ!!
「っいで!」
手に力を入れた俺に、見かねた母さんが
力一杯後頭部を拳で殴りつけた。
あまりの痛みで離し、後頭部に手を当てて呻く。
くっそー!
手加減なしで本気で殴りやがったなぁ~~!!
「な、何するんだよ!!」
「それはこっちのセリフよ!
止めなさいって何度も言ってるのが聞こえないの!?
このバカ息子!!」
俺の後頭部殴った母さんも拳が痛いらしく
手首をブラブラと振りながらも
目をギラギラさせて完全に怒っていた。
「まったく……。
ごめんなさいね、月菜ちゃん。
怪我はない?」
…………って
さっき俺に向けてたギラギラの怒りの眼とはまったく違う
すっごく優しいお姉さんみたいな眼と声にガラリと変わって
ガキの方を向いたぞ、おい!
「うん、大丈夫。
ありがとうございます、千麻(チマ)さん」
って……
こいつもこいつでなに笑顔になりながら
当たり前みたいに母さんの名前を呼んでるんだよ!!
「だぁあああっ、もう!!」
和み始めかけているのに腹立って叫んだ。