~ ☆プレーチェ★ ~
疲れてるのに、と思い振り返れば
呼び止めた本人は顔を顰(しか)めているし。
何で聞いてくるのかわからないけど
月菜は思わず肩を竦めて扉の方を指差した。
「どこって、質問の説明にも答えたから、自分の部屋に行くの」
「部屋?」
更に訝しげな顔をしてくるから頷いて、
「そうだよ。聖ちゃんは知らないだろうけど
この家には一部屋新たに用意させてもらったの」
と、説明しながら扉の取っ手を掴んで引いた。
ガチャッ
開けた先にある廊下に進んで横を見る。
あそこあそこ♪
すぐ見つけることができたから
まだ部屋で顔を顰(しか)めたまんまの聖ちゃんを見て手招きをする。
そうすればもっと嫌そうな顔にもなっていった。
「なんだ」
「何って、あそこに月菜の部屋があるんだよって」
言いたいんだよ、と廊下を指差して言えば
表情は変わらないけどやっと動いてくれた。
聖ちゃんが廊下を覗けるように月菜は廊下に出て
傍に来てくれるのを待つ。
待つと言っても、すぐ傍に来てくれたけどね。
部屋から廊下を覗くように体を出したから
月菜は部屋からまた指差して
「あれ」
と教えた。
部屋から漏れる光でかろうじて見える、斜め前の扉。
あれが月菜の部屋。