~ ☆プレーチェ★ ~



 
 何しろ今までだってその身で充分、俺が起きろと言われて起きる訳ないことくらい分かってきたことのはずなのに

 なんでわざわざ、昨日来たばかりのガキなんかに俺を任せようとか思えたわけ!?

 騒ぎになるの分かってたんじゃないのか!?

 絶対おかしいぞ!

 睨みすえてずっと喋れば、ガキのことを心配して診ていた母さんは意外とあっさりと俺の方に向き直って

 少し溜め息を吐きながら頷いた。


「ええ、分かっているわよ。

だから私も最初は行ってもきっと無駄だと思って

月菜ちゃんを止めたんだけどね……」


 言葉の語尾を濁らせて、困ったようにガキの方をチラッと見た母さん。

 それを察したかのようにガキは身を乗り出して


「どんなことでも物は試しですよ!

月菜は絶対聖ちゃんを起こして見せます!

そう断言して、ここまで来たんだよ☆」


 母さんの言葉を続けるように言い切ると、ニカッと笑って見せた。


「なっ!」

「……まぁ、何回叩いても、揺さぶっても、聖ちゃん熟睡してて起きなかったから~。

あんな感じになってたわけだけど~」


 朝の騒ぎを思い出したのか、腕を組んで頷き。

 今度は傍にいる母さんを見て、


「起きたでしょ♪」


 と、俺を指差しニッコリ笑った。

 あの騒ぎが起こってこの笑顔を見ると、無性に殴りたくなったが

 俺がそれを口や態度に出す前に母さんもガキに笑み返してなぜか嬉しそうに笑い出した。


「月菜ちゃんが小さい頃から聖のこと好きなのは知っていたから

いつかはこうなるんじゃないかしらと思っていたけど

まさか再会してもうここまで仲が進んでいただなんて思わなかったわ」

「はっ!?」


 ちょ、ちょっと待った!
 何言ってるんだよ、母さん!?


「え、覚えていてくれてたんですか?」


 って、あんたも頬染めて何訳の分からないこと聞き返してるんだよ、ガキ!!


「ええ、もちろん覚えてるわよ。

月菜ちゃんがまだ6歳で、ちょうど9歳の誕生日を迎えた聖に

公衆の面前で堂々と告白していたもの。

あの日から月菜ちゃんの気持ちがは聖にあるものだって、ずっと分かっていたわ♪」

「わぁ…、そんなに前のことまで覚えていてくれてたなんて

……なんか照れちゃいます」


 いや、俺まったく覚えてないから!
 全然、これっぽっちも!!


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