~ ☆プレーチェ★ ~
「母さ……」
グイッ!
うわっ! なんだ!?
何かが腕に……。
「すぐに下に行くので、待っててくださいね」
はいぃっ!?
「そんなに慌てなくてもいいけど
朝食の準備はしてあるからいつでもいらっしゃいね」
「は~い☆」
いや、〝は~い☆〟じゃなくて!
あ、母さんっ!!
バタン。
トコトコトコ……。
……………。
……………。
「わぁい、うまくいったぁ♪」
ギュッと更に俺の腕にくっついてくるから
俺は咄嗟に腕を振り上げてた。
気楽に嬉しいみたいな顔して……。
「何がうまくいっただよ!嘘並べることに達成感感じてニヤつくな!」
何も知らない母さんをあれだけ騙しておいて、罪悪感一つなしなのか!?
信じらんねー、と思ってガキを見つめて言った。
でもガキは、まったく怯むことなく俺のことを見つめ返して、
「必要だから言っただけだし」
と、さっきの嬉しそうな言葉と違って平然とした顔で素っ気無く答えた。
「昨日もさっきも言ったでしょ?月菜は聖ちゃんの傍にいるために
周りの人の記憶を変える必要があるの。それに月菜は嘘なんか言ってないし」
「言ってないって……思いっきり言いまくってただろうが!何が昔から好きだ!
ただ傍にいるだけのために使うとか、言ってきたくせに!」
「……まぁ、あの場では千麻さんもいたから詳しく説明もできなくて、手短に済ませるためにそんなことをまたテレパティアで送っちゃったけど
ただ傍にいるためだけって言うのは、単純に好きだから傍にいたくて、いるためだって言葉を変えただけ」
「テレパティア……って、ああ、テレパシーのことだっけか?あの頭に響いてきたお前の心の声の能力」
「そうだよ」
〝それがどうかしたの?〟と言いたそうに、首を傾げて呑気に答えを返してくるから、
そんな顔を見てるとイラついてついバンッと閉まった扉を拳で殴り、ガキを睨みつけた。
「昨日も言ってたよな。結界とかセーメだかなんだかにしたってそうだけど
その能力って一体何なんだ?」
ヘンな力ばかり使ってきて、一体何がしたいんだ!
ギッと睨んでいるのに、ガキは全然怯えない。