~ ☆プレーチェ★ ~
それどころか〝何を今更~〟とニッコリで笑みを返して、
「だから何度も言ってるでしょ。
命に関わることしてないんだってば」
まるで〝心配ないよ〟と言っているように
力のこもった口調で答えてきた。
「さっきのテレパシーだって
お互いにだけ想いを通じ合わせる見えない電話みたいなものだよ。
昨日の結界も、千麻さんがもし入ってきたら、
聖ちゃんがちゃんと寝てるように幻でも見せてまた引き返すようにするだけだったし……
ああでも」
一生懸命説明していたが、途中でその勢いが切れ、俺から視線を扉に向け、
「……さっきは結界張るの忘れてたなぁ~、失敗失敗。
張ってたら、あんな大声出しても千麻さんも入って来なかっただろうなぁ~」
失敗したことを顔に出しながら、ポリポリと頬を指で掻く。
でもすぐ、
「まぁ、それも今のでなんとかなったし、大丈夫だよね!」
と、苦笑しながらこっちに向き直って言った。
「セーメも危なくないし、他にも月菜にはいろんな能力があるから
それで驚かせちゃうこともあると思うけど……」
「能力って、他にも何か使う気なのか……!?」
いちいちそんな訳の分からないものばかりと遭遇するなんて、耐え切れない!
迷惑でしかない!
そんなのやめろ、絶対使うな!
と言ってやりたかったけど、その言葉が出てくる前に
俺の目の前にガキの指先が向けられて、
「だ・か・ら!!危なくないの!」
〝絶対否定させない!〟というような気合の入った言い方をしてきた。
それこそまるで、俺が否定しようとしてるのを分かって、
〝それ以上は言わせるものか!!〟なんて感じで遮ると、
まっすぐな眼で俺を見上げた。
「セーメだって、結界だって、テレパシーだって!
絶対危ない力じゃない。これから使うかもしれない能力だって、
聖ちゃんや周りに危害を加えるようなものじゃないよ」
「そんなこと言っても……」
「月菜は!なんと言われても絶対聖ちゃんの傍にいるの!
そして傍にいる限り、ずっとこの能力も使い続ける!
意見を変える気はないから」
……って、完璧にここに。
しかも俺の傍にいること前提で、力いっぱい断言し切ったし……。
おいおい、勘弁してくれよ……。
出て行ってくれるのが一番なんだけどなぁ。
俺はついに返答に困ってしまい、黙って指さしてくるガキを見つめていると
ガキは俺が納得したとでも思ったのか、満足気に微笑んで上げていた腕をゆっくりと下ろした。
やれやれ、マジでこいつ、俺の傍に居着く気なんだなぁ。
はぁ、そもそも何なんだよ、月天使って!
俺、助けなんか求めてないし!