~ ☆プレーチェ★ ~


 黙ったままだったから、聖ちゃんが〝なんだよ〟と聞いてきそうなった。


 眼鏡越しに睨んでくる目がすごく怖いけど

 言うことを聞く気はまったくないし。

 
 沈黙の後、月菜はフンッ、と聖ちゃんの視線からそっぽ向いた。


「なっ!?」


 まさか無視されるとは思っていなかったみたいで

 聖ちゃんからギョッとした感じの声が漏れて聞こえきた。


 それも無視しながら〝月菜には月菜のやり方があるんだから〟と

 眼を閉じて意識を静かに集中させていった。

 
《我の中に眠る力よ、繋ぐ力となって現れよ》


 胸の奥で強くそう一心に唱えると、右手がどんどん熱くなってきた。

 その手を何もない空中へ上げて、クルンと小さな輪を描くように回す。


 力を解放したあと、眼を開けてみれば

 さっきの空中に青白く光る丸い輪が現れて

 光りの輪の中からポトポトッと小さい物が2つが落ちてきた。


 それが床に落ちる前に月菜が腕を振ってキャッチすれば

 空中の青白い光りの輪もスゥ~と消えた。
 

 よし、とりあえずこれ付けてもらおう。


「な、なんだそれ?」


 顔をしかめて聞いてくるから、手の中にある2個を見せて


「指輪だよ(笑」

「指輪ぁ!?」


 そう、それはシンプルな銀色の輪に文字が刻まれていて

 中心に小さく綺麗な黄緑の神石が埋め込まれている

 力の込められた特殊なアイテムの1つ。


「どう?綺麗でしょう」

「綺麗でしょって……何が綺麗でしょだよ!何でそんなの持ってるんだ!」


 む~~っ!! 
 何?って聞くから指輪を見せたのに!

 聖ちゃんは綺麗ともなんとも言わず、ただ不機嫌度が上がっていく一方のご様子だった。

 まったく、この性格から直してほしいな。


 そんなこと思いながら、怒ってる聖ちゃんに構わず

 月菜はその指輪2個を両手で握ってまた眼を閉じた。


《ノイ コッレガーレ 〝我々を繋ぎたまえ〟》

 パァァァァッ!!!

 今度は言葉にして一言唱えると、握っている手の指の間から

 光りが強く溢れてくるように感じてきた。


 眼を閉じていたって眩しく感じる、暖かい青白い光りの気。

 きっと聖ちゃんだって眩しくて目を閉じてるんだろうな。

 シュッ
 ピュッ!!


「っ!?……な??」


 光りが溢れてる間に何かが飛ぶんでいく気配と

 自分の左指が熱くなる感覚と、聖ちゃんのビックリする声が聞こえた。


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