ドーナツの穴
彼女がドーナツ買ってきた。
「ドーナツ食べる?」
「穴があいてるヤツなら食べる」
そう言うと、シンプルないかにもドーナツです。という感じのドーナツを渡された。
因みに彼女自身は丸い小さいドーナツを食べながら。
そして僕はドーナツに空いている穴を覗き込んだ。
ここからだけ、僕にだけ、見える生物が居る。
「あー、居る居る…」
「何が居るの?」
不思議そうにそう尋ねられて、
声が出ていた事に気付く。
そもそも、ドーナツの穴を覗き込んでいること自体不思議だろう。