White Witch
俯いて、表情は見えないが微かに唇をかみ締め何かに耐えているようだった。
「誰がそんなことを言った。魔女だからか?不幸なんてそれぞれの感じ方しだいで幸も不幸にもなれる。全部、お前のせいにする奴らがどうかしてるんだ。人に押し付けて自分を正当化しているだけで・・・楽になろうとする。だからお前1人がここから出たって世界が壊れるわけでもないし、ましてや星が降ってくるわけでもな。」
二クスはニカっと笑い、軽い冗談まで言ってくれた。
それにつられて暗い気持ちだったのがちょっと晴れた気分になった。
「で、ミランダは王都に俺と一緒に行くって事でいいとして、そのカイソウってのは十分あるのか?」
え!決定事項!?この人強引だ!!
でも行きたくないならはっきり言えばいい、なのに躊躇ってる…どこかで私は行きたいと思ってる、でも1人で出て行く勇気もない、誰かここから連れ出してくれる人を待っていたのかもしれない。
「おい、聞いてる?」
自分が何を本当に望んでいるかを考えていたらボーっとしていたみたいで、声をかけられて意識をもどした。
「あ、はい。多少でしたら毒処理されたものがありますが、足りないと思うので森に取りに行きたいです。」
「よし!今日はもう陽が暮れてっから明日の朝早く探しに行って、よかったら明日中にここを出て王都に向かう。だから、荷物をまとめといてくれ。」
そういうと二クスは家から出て行ってしまった。
行っちゃった・・・ミランダが口を挟む間もなく行ってしまった、夜はどこで寝るのか聞こうと思ったのに。
そんなことを思いながら、ミランダは夕食の準備をし始めた。
そのころ、二クスは約1日ぶりのアンカの村に居た。
村は夕食時なのか家々でいい匂いがして、二クスの腹の虫が鳴った。
そういえば、朝も昼もまともに食ってない、腹減ったな。
そんなことを思いながら、この村唯一の店に入っていった。