多重書きの二等辺三角形

『おう。』


放課後の校門に純ちゃんは立っていた。


沈黙が続く…。


『ごめん!!黙ってて本当にごめん!!でも俺…本当にユナが好きだから。その気持ちに嘘はないんだ。』


私はまだ素直にそれを受け入れきれなかった。


つくづくイヤな女だ…。


あっ、もう悲しみの十字路についてしまった。


私だって話したかったことあったはずなのに…何にも言えなかったなぁ…。


「じゃあまた明日ね。」


『うん。俺待ってるから。ユナが俺のこと心から信じてくれるの。待ってるからな。』


振り返らなかった。


とにかくその場から立ち去りたかったんだ。

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