多重書きの二等辺三角形

翌日、私は1人で喫茶カンピオーネに行った。


(カラン…)


『あっ、いらっしゃい。ユナちゃん今日は1人?』


「うん。」


『はい、クリームソーダ。元気ないけど…どうかしたの?』


マスターが優しく私に聞いた。


「ねぇ、マスター。私…いい女になりたいよ。」


『いい女ねぇ…。ユナちゃんが思ういい女って?』


「少しも不安になることがないような完璧な女。」


『そんな人はいないよ。少なからず誰もが弱さは持ってる。それは女性だけじゃなく、男性だってね。』


「じゃあマスターも?」


『もちろんだよ。でもね…』


「でも?」


『自分の弱さ、他人の弱さ…それらを認められる人を、強い人って言うんじゃないかな?』


「なるほど。」

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