多重書きの二等辺三角形

- 修学旅行の夜 -


俺は宿舎を抜け出し、ひかりと会っていた。


あの告白以来の顔合わせだったから少し緊張していたのも事実。


満天の星空の下でひかりは俺に聞いたんだ。


『ねぇ、純平。私のどこが好きなわけ?』


答えが出せなかった。


なんて言えば正解なんだろう?


よくわからなかったんだ。


「じゃあ逆に聞くけど…なんで俺と付き合ってくれたわけ?」


『うーん…なんとなく!!』


ひかりは笑った。


…そんな関係でいい。


ただなんとなく付き合いたいから付き合う。


ただなんとなく一緒にいたいから一緒にいる。


それが1番なんだって思った。


“好き”って理由は理屈じゃないんだから…


理由探しはやめにしよう。


ただ…間違いなく!!!


俺にとって西城ひかりは、人生で初めて好きになった人だったんだ。


それだけは揺ぎ無い事実なんだ。

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