多重書きの二等辺三角形

式が終わり、俺は教室に戻った。


重い足取りで教室に入ると…


黒板には大きく“3年C組最高!!!”と書かれていた。


ハッ?


最高?


最低だろ…。


“終わりよければ全てよし”なんてことわざもあるが、俺からしたら“終わり悪けりゃ全てダメ”なんだ。


ひかりのいないこのクラスなんて…俺には何の意味もなかった。


その時、みんなとは違う涙を俺は流していたんだ。


なんでだよ。


なんで黙って行っちまったんだよ。


好きだったのに。


本気で好きだったのに。


自然消滅だった。


こうして俺とひかりの恋は終わったんだ。


嫌になるくらい青く澄んだ空だった。


卒業式にはもってこいの天気だったんだ。

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