多重書きの二等辺三角形
「母親の再婚相手がどうしようもない男だったんだ。働きもせず、お酒ばっかり飲んでるような男。」
『そっか…。』
「私だって夢はあったの。モデルになりたかったの!!でもそんな状況だよ?夢目指してる場合じゃないでしょ?何をしてでもお母さんは私が守っていかないといけないんだ。お金だって私が稼いでいかないといけないんだって思う。ましてや恋だなんてもってのほか。」
マスターはただただ頷いて、その話を聞いていた。
「私ね、夢は捨てれたの。色んなことも我慢できたの。別に普通の高校生みたいな生活が出来なくたって我慢できた。」
『うん、うん。』
「でもね。純平のことだけはどうしても諦められないの。頭から離れないの。なんでかな?諦めようとすればするほど純平に惹かれていくの…。」